国立劇場にて藤間禾寿也さん藤間禾寿之先生主催の扇珠会が催され、今年もとても勉強させて頂きました。
今回は一日に四番。本当に有難く存じます。
最初に義太夫「龍虎」の龍を踊らせて頂きました。
以前、藤間流のお振りで虎を踊らせて頂きましたが、龍もカッコいい!この隈取はたぶんもう一生しないかもしれないです。古い先生のお写真を元にして日本画を参考にしてかかせて頂きました。
次に長唄「女伊達」の男伊達を若柳吉優亮さんと一緒にやらせて頂きましたが、花道から本舞台に入り、いきなりハプニング!
左の下駄の歯が一本折れてしまい、越後獅子みたいに一本歯状態になってしまいました。でも、まぁ、なんとかなるもんですね(笑)
次に、長唄「静と知盛」のいつもの間狂言の所を、素踊りで住吉踊りだけをやらせて頂きました。静は衣裳付、知盛は素踊りでしたので、住吉踊りも素。以前もこのパターンでやられたそうです。
紋付袴で住吉踊りをするのは初めてでしたが、ウチのお弟子さんからは意外と好評でした。
最後に常磐津「戻駕」を会主の藤間禾寿也さん、若柳吉優亮さんと一緒に踊らせて頂きました。浪速の次郎作は今回が初役でした。
今年は4月の正派若柳流定期公演で常磐津「女戻駕」を担当・出演もしていたので、戻駕づいてるんですね。「戻駕」も「女戻駕」もなかなか出ない演目なのに、4カ月も経たないうちに両方できるなんて、幸せ者です。
禾寿也さんとも亮ちゃんとも今まで何度も一緒に踊らせて頂いてきましたので、息が合うというか、次郎作は大役ですがとてもやりやすかったです。
ただ、ここでもハプニングがあり…途中震度3の地震が起こり、駕籠に立てかけてあった息杖がバタバタ倒れました。もちろん揺れには気づいたのですが、3人揃って「疲れてるのかな…」と最初地震とは思わなかったんです。
大道具の立ち木がワッサワサと揺れているのを見て客席が少しザワつき、あー地震かと思わず吊り天の照明を落ちてこないか確認してしまいました。(もちろん国立劇場なら大丈夫ですが、落ちたら大変です)
一日4曲を踊らせてもらうこと自体珍しく、顔をする(化粧)時間や衣裳を着るタイミング等を考えておかないと、落ち着かないというか休憩ができないです。普通はさせてもらえることもないのですが、この当日に向けて本当に色々考える事ができ、とても勉強になりました。
改めまして、大役を下さいました藤間禾寿也さん、藤間禾寿之先生に心より御礼申し上げます。